世間話をしていて、多くの人が不思議だと共通して言うのは、安倍内閣の支持率です。「あんなに弱い者いじめと強権政治していても支持率が50%を超えるってどういうこと」そんな疑問を感じている人に、そのカラクリの原因を解明してくれているのがサンデーモーニングでお馴染みの金子勝慶応大学教授です。日刊ゲンダイ1月11日の記事を紹介します。
安倍政治5つの大罪
2016年の安倍政治は、本当にひどかったと思う。少なくとも5つの大罪を犯している。 一つは「デフレから脱却しつつある」というウソだ。政権発足から4年経つのに、日本経済はデフレから脱却していない。2016年11月時点で「消費者物価上昇率」も「家計消費」も、9カ月連続のマイナスである。 二つ目は、「原発に依存しない経済と社会を目指す」という公約を平然と破ったことだ。原発の再稼働を進め、40年廃炉原則も破り、11兆円から21.5兆円に膨らんだ東電の廃炉・賠償費用を賄うために国民負担増を強いるつもりでいる。 3番目は、公約を破ったばかりか、発行しないことが確実視される中でTPP承認を強行した罪だ。この先、日本は「TPP合意」を出発点としてアメリカともっと厳しい2国間FTAを結ばされそうな雲行きだ。 4つ目は、介護報酬引き下げで介護事業者の倒産は過去最悪になり「介護離職ゼロ」という公約を破ったこと。待機児童解消も同じだ。 5番目は、「積極平和外交」のペテンである。南スーダンへの武器輸出禁止という国連決議を潰して、内戦状態の南スーダンで駆けつけ警護(武力行使)を可能にした。要するに経済も外交も「成果」が見当たらない。
大手メディア黙認の責任
不思議なのは、それでも高い支持率を維持していることだ。典型的なのは大失敗に終わった「ロシア」外交である。 北方領土の返還交渉は1ミリも進まず、3000億円という経済支援だけ約束させられてしまった。 これほど国益を損なう外交は珍しいだろう。なのに、日ロ首脳会談を「評価する」は44%、「評価しない」は38%と、評価する声が上回っている。 なぜ成果が見当たらないのに高い支持率がキープされているのか、本来、政治は結果責任のはずである。おそらく大多数の国民は、結果よりも、安倍首相が何か「やっている」ように装っていることに目を奪われているのだろう。安倍首相も、絶対に失敗を認めない。失敗してもひたすら「挑戦」「道半ば」「新しい判断」などのフレーズを繰り返し、失敗していないように振る舞っている。 やはり安倍首相の失敗を追求せず、結果責任を問わず、ウソとごまかしを許している大手メディアの責任が大きいと思う。