「共謀罪」は法治国家の大原則に反する【となみ読者のひろば・2月5日】

2017年02月05日 08時29分57秒 by

安倍政権は、過去3回も廃案になった「共謀罪」法案を修正して、「テロ等組織犯罪準備罪」法案として今国会に提案する構えです。

一昨年の憲法審査会の参考人として「安保法」(戦争法)を憲法違反であると発言して一躍有名になった、改憲論者の小林節慶応大学名誉教授(憲法学)が「改憲論ペテンを暴く」で発言しています。(日刊ゲンダイ1月25日付)

刑法の大原則に反する

「共謀罪」の本質は、悪事を提案し合った(つまり共謀した)だけでその考えを罰することで、その悪事が実行に至って初めてその「行為」のみを罰するという近代以降の刑法の大原則に反する過剰規制である。

政府が必要だとする理由は①国際組織犯罪防止条約(2000年)に加入する条件とされている。②東京オリンピックを控えてテロ対策が急務である。というものです。しかし、そのような理由付けには無理がある。①については、前記条約はその中で「自国の国内法の基本に従って」必要な措置を講ずる(34条)と明記している。つまり、この条約を批准する条件として、我が国としては「行為」を罰して「考え」の段階では罰しない」という国法の基本原理までは害さなくてよいのである。②については、この条約は、そもそも資金洗浄、人身売買などの国際組織犯罪を対象としており、テロ対策の条約ではない。

法は「考え」を裁かず「行動」のみを裁く

人間は皆、本来的に不完全な存在であり、誰でも、悪事を考えたことも、それを友人などに提案したこともあるはずだ。しかし、それを実行した者はほとんどいない。そして、刑法は、人間の「考え」には踏み込まず、現実に実行した反社会的「行為」だけを処罰することになっている。これは、「法は『考え』を裁かず『行動』のみを裁く」といわれ、法治国家に共通する大原則である。

もしも「共謀」を準備段階で罰することにすると、盗聴、尾行、潜入を駆使した捜査を日常的に行わない限り、立件は不可能である。恐ろしい監視社会の到来になる。今回の法案は、「共謀」に加えて資金の入手、道具の取得、下見といった「準備行為」を条件に加えて「限定した」と称している。しかし、対象になる犯罪が「懲役4年以上」(例えば詐欺、恐喝などを含む)実に676種類であれば(300種類でも)、我が国が日常的に監視社会になってしまうことには変わりはない。だから、このような自由な社会を否定する法案の提出自体が憲法の否定である。

※結論 この共謀法によって(戦前の治安維持法と同様に)常に国民が監視され、物言えぬようにして憲法9条を変え、「戦争する国」にしようとする安倍政権の狙いを打ち破るため、立憲野党と市民の共同で私たちの心の自由を守らなければ。

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