種もみ代が10倍に!【となみ赤旗読者のひろば・2017年4月16日】

2017年04月15日 23時44分27秒 by

米や麦、大豆の種子を行政が開発・普及する根拠となる法律である「主要農作物種子法」(種子法)の廃止法案が3月23日、衆院農水委員会で与党などの賛成多数で可決されました。「生産資材を1円でも安く、農産物を1円でも高く」が「農業競争力強化プログラム」のふれこみで、安倍政権はその一環として種子法廃止をねらっています。しかしこれがとんでもないインチキであることが、農水省が昨年9月に規制改革推進会議に提出していた資料「生産資材の引き下げに向けて」から明らかになっています。

同資料によれば、三井化学アグロが開発した「みつひかり」の価格は20キロ8万円。業務用米として評価の高い「きらら397」(北海道)の11倍、「まっしぐら」(青森)の10倍です(表1)。農水省は「民間企業が参入しにくい中においても、普及が進んでいる品種もある」として「みつひかり」をあげ、「超多収であるため所得は遜色ない」と持ち上げています。しかし、生産収量は10アール当たり12~13俵で、一般品種の約1.5倍にすぎません。

表1  水稲種子の販売価格(20㎏当たり)

開発者

品種

価格

生産量

北海道

さくら397

7,100円

78,191トン

青森県

まっしぐら

8,100円

136,010トン

三井化学アグロ

みつひかり

80,000円

4,414トン

競争を平等にと種子法廃止を狙う

同省は種子法廃止の理由として「都道府県が開発した品種は、民間企業が開発した品種よりも安く提供することが可能」なことをあげ、「平等に競争できる環境を整備する」ためとしています。「生産費を1円でも安く」というスローガンに逆行して、種子価格を10倍に引き上げて、「平等に競争できる環境を整備する」とでもいうのでしょうか。

「野菜の種は高い」というのが農家の実感ですが、種子法のもとで公的にコントロールされてきた米、小麦、大豆と、民間育種が主流の野菜とでは、生産コストに占める種苗代の違いは2~3倍の開きがあります(表2)。またアメリカでは、遺伝子組み換えを含むアグリビジネスの種子支配が強まるにつれて、トウモロコシや大豆の面積当たり種子代が3~4倍にはね上がっており、自家採取と公共品種が主流を占め続けている小麦とはきわめて対照的です。

表2  生産コストに占める種苗費の割合

小麦

大豆

露地野菜

2.7%

4.1%

4.8%

8.1%

種子価格だけの問題ではない

問題は種子価格だけではありません。「みつひかり」は北海道と東北3県、関東と近畿・四国の一部を除く38都道府県で栽培され、「栽培面積は年々増加」と、農水省の手柄であるかのように述べています。しかし、これは食味の向上と温暖化対策として、県、地域に合った品種改良が急速に進んでいる動向に逆行し、品種の画一化が進むことを意味します。「北海道のお米がおいしくなったのも、うどんだけでなくパンやラーメンに向いた小麦が作られるようになったのも、地域に試験場があったから。今後も地域に合った品種開発を望みこそすれ、その必要性を否定する意見なんてとんでもない」と北海道十勝・音更町で畑作を営む山川秀正さんは言います。

京都大学の久野秀二教授は「長い目で見たとき、種子法の廃止は、主要作物を安定的に供給するためにこれまで築き上げてきた制度、体制を弱め、米・麦などの優良種子の供給が不安定になり、必要なときに手に入らなくなってしまうおそれがある」と警告しています。

砺波の種もみ危機

これは、ひとごとではなく全国的にも有名な、砺波の種もみ農家にとって種苗代が10倍になる恐れがあるという、死活的問題になるのではないかと心配されます。私たちも種子法廃止法案の撤回・廃案を要求すべき時ではないかと考えます。

種もみが順調に伸びてくれています。

【種子法廃止許さない】

米や麦、大豆の種子を行政が開発・普及する根拠となる法律である「主要農作物種子法」を廃止する法案に反対して、市民団体「日本の種子(たね)を守る会」は10日、第二回の集会を開きました。会場の衆院第1議員会館には、消費者や生産者、種子をつくる農協関係者などが参加。主要種子法をなくすことは食の安全や日本農業を困難にする、との声が続出しました。種子の国際関係を研究する龍谷大学の西川芳昭教授が講演し、「種子が消えれば、食べ物も消える。そして君も」という研究者の声を紹介し、遺伝資源は人類の共有財産だと強調。日本の種子法が地域にあった品種を育成・保管してきた仕組みであり、廃止することは食料の安全保障や食料集権のうえでも問題だと指摘しました。

 農水省の担当者が招かれ、「民間の開発を阻害している法律だから廃止する」と説明。会場からは、「うまくいっているシステムをなぜやめるのか」(種子生産の農協組合長)、「民間の種子は高くなる。メリットはない」(生産者)「遺伝子組み換えの種子が入る。安全性はどうなるのか」(消費者団体)など、不安・批判の声がでました。集会呼びかけ人の一人、山田正彦元農水相は、環太平洋連携協定(TPP)の内容を官邸・規制改革推進会議が強行しているのが実態だと指摘。種子を守る議員立法など何らかの対策が必要だと訴えました。

 集会に先立ち、参議院議員会館前で「食料主権の大本、日本の種子を守れ」と行動。農民連の吉川利明事務局長は、慎重審議・廃案で議員要請をしていると紹介しました。民進党議員とともに、日本共産党の畠山和也議員がかけつけ、「コメなどの日本の種子を企業が牛耳る。国の責任放棄は許されない」とあいさつしました。

(しんぶん赤旗4月11日)

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