数年にわたって素麺作りを休んでいたお宅での製造が再開しました。次の代の方が夫婦でやってみたいと話されている事を聞いていて、早くその日が来ないかなと待っていたのですが、本日がその日になりました。長く機械を使わないと、錆びたり調整部分が狂ったりでそのままでは直ぐに使えなくなります。兵庫の専門の機械屋さんにメンテナンスを頼んだとのことだったので、再開は今シーズン中のことだろうとは思っていましたが、「今日機械が納品されたがですが、これからやってみようと思います。ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・」と電話がありました。ので早速押し掛けることにしました。
ご夫婦とも、先代の作業を眺めたり手伝ったりはされていたようですが、自分達で通すのは初めて、いざスタートしようと思うといろんな?マークが頭の中を跳ね回っておられたようです。臨んで初めてわかる「必用な事」がたくさんあるものだと驚かれたろうと思います。小道具やちょっとした知識や技術、何年も作っている者には「当たり前、何でもない事」が、そうでない人には考えもしなかったことだったりするのです。
そういう事が良くわかりました。新しい後継者を迎えようとするなら、迎える側のち密な準備も必要なのだなと。
的確なアドバイスができなくて、ご夫婦の最初に格闘する小麦粉団子が大変硬めの「難しい」ものになってしまいました。それでも頑張って最後の工程まで持っていかれましたが、めっちゃ消耗されたと思います。途中休みが有ったといえ、二四時間以上にわたる初体験の連続、うるさいおやじギャラリーがべったり張り付く緊張環境、本当にお疲れさまでした。
どうか「もうこりごり」なんて思わないで欲しい、「辛抱して繰り返す先に狙ったものを作る面白さが開けてくるので、それまで頑張って」、などと自分の三二年前の「うまくできないが対処の方法もわからない、だけど次の日もその次の日も作らなくてはならない、まことに困った感」を懐かしく思い出しながら、このご夫婦が生産者の集まりでお会いするのが当たり前の存在にぜひともなって欲しいと思います。