このところ毎年悩まされる右手の症状です。手先のしびれは1月から感じています。しかし気持ちが悪いだけで「実害」はなく問題にしていなかったのですが、ついに大事なところで力がうまく入らない、困った症状が現れてしまいました。力が入らないといっても、日常生活に必要な動作は問題なく、ドアの開閉やハンドル操作は普通です。「お米を精米して来てくれない?」と頼まれれば三十キロのコメ袋を車に運ぶのも何ともありません。
問題なのは素麺の干し上げの時です。風に揺れている素麺を、適度に乾いたものから順番に箕の中に収めていくのですが、右手で三本の棒に掛かった素麺を支え持つことが困難になってきたのです。こんな症状は五年ほど前から、いつも春先のそろそろシーズンが終わりに近い時期から現れるようになりました。必要な力はそんなに大きくないのですが、はさの穴にはまっている棒を引っ張り出そうとするとその重みで床に落としてしまいそうになるのです。懸命に支えて納めるのですが次のにとりかるまで時間がかかります。しかし素麺はどんどん乾いていきます。急がないと干せ過ぎて髷を結おうとしても折れてしまう物になる、焦りながら、右手をぶらぶら揺すって力が入るようにと気合を入れなおす、そんなことが干し上げ作業が終わるまで続きます。
整形外科で「腱鞘炎」と言われ、腕に巻くリングをもらってきましたが、期待した「神がかり」的な効果は得られませんでした。シーズンオフでの癒しを待つしかないようです。何とかしのぐ毎日がしばらく続くぞ!と覚悟するしかありません。職業病ですね。
それにしても不思議です。八十代になっても元気に素麺を作っておられる、あるいはおられた先輩は少なくない、しかも特別の力持ちでも背高のっぽでも無い、あるいは無かった・・・自分はよほどおかしな手の使い方をしているのだろうかと三十三年目にして思案中です。