2月議会で次のように質問し、市当局の考えをただしました。(その2)
子供たちに安心な国産品を
境きんご 学校給食の、小麦から作られる食材の安全性について、当局の認識と要望を行います。
日本の小麦の自給率は14%と低く多くを輸入していますが、ポストハーベスト農薬が検出されその安全性を危惧する声が従来からありました。これに加え、アメリカやカナダでは、収穫作業を効率化し品質をコントロールするために、収穫直前に除草剤を散布するという農法が一般化しています。除草剤の主成分であるグリホサートには発がん性があり、小麦食品に残留しているのでないかという不安の声です。
グリホサートは、日本でラウンドアップの名で売られている除草剤の主成分で、国際がん研究機関(IARC)が、発がん性に関して5段階の上から二番目にリスクが高い「2A=おそらく発がん性がある」に位置付けている成分です。
グリホサートは、発がん性だけでなく、環境ホルモン作用や発達神経毒性や腸内細菌叢への悪影響を指摘する論文も増えていると聞きます。
諸外国では使用禁止の流れ
このため、オーストリアやドイツでは使用が全面禁止され、フランスも2023年までに段階的に廃止するとしています。ベトナム、スリランカでは輸入が禁じられ、デンマークではすべての作物の出芽後の使用を禁止、ベルギーやオランダでは専門家以外への販売が禁止されています。グリホサートの使用を抑制するのが世界的な流れとなっています。
アメリカではラウンドアップを使用したためにがんを発症したとして製造会社を訴える裁判が急増しているとも報じられています。
しかし日本では、逆に規制が緩められ、2018年に、輸入小麦のグリホサートの残留基準を5ppmから30ppmに大幅に緩和してしまいました。
農水省によると、2013年から2017年までの残留農薬検査では、アメリカ産の小麦からは9割、カナダ産の小麦からほぼ全てからグリホサートが検出されていますが、いずれも基準値を超えていないとして数値は公表されず「今の摂食状況なら人体に影響は出ない。発がん性の心配はない。」としています。
しかし、「たとえ低濃度であってもラウンドアップがカエルや鶏の胚に先天異常を引き起こした」というブエノスアイレス大学の研究結果や、ラウンドアップの散布を組み込んだ大豆栽培の盛んなアルゼンチン・チャコ州の「グリホサートと、小児がんや脳腫瘍、先天異常などの発生は関連がある」との州政府の発表もあります。とりわけ成長盛りの子どもたちに対する影響が懸念されます。
農民運動全国連合会(農民連)の食品分析センターによる学校給食に用いられるパンの検査結果によると、全国から寄せられた給食用パン14製品中12製品からグリホサートが検出され、国産小麦、米粉を原料とする2製品からは検出されなかったとのことです。
昨年11月、参議院において日本共産党の紙智子議員が、学校給食のパンからグリホサートが検出されたことについて「感受性の強い子供たちが食べて大丈夫なのか」と質したのに対し、江藤農水大臣は「学校給食については、少しステージが違うと思うので、考えたい」と答弁しています。簡単に基準値以下だから問題ないとは言えないとの認識です。
これら子どもたちが給食で食べるものについては、基準値以下であってもグリホサートの混入していないものを使用すべきと考えますが、当局の考えを聞かせください。
又、国産小麦を原料にした小麦製品やパンであれば安心です。そこで次に要望したいのは、食材の原料を国産に限るとすると材料費が今よりかさむことが予想されますが、その分を保護者負担でなく、給食を公会計として、安全な給食を子どもたちに与えようという、市の子育て支援的な負担として対処できないか伺います。
森田教育総務課長 学校給食のパン及びソフト麺は全て輸入小麦を使用していますがグリホサートについては、内閣府の食品安全委員会において、発がん性、遺伝毒性は認められないと判断されており、これに基づき使用しています。
又、学校給食の公会計化は、国が働き方改革のガイドラインとして示しているので、食品の安全安心とは目的が違います。公公会計に移行しても食材の選定については現在と変わらないと認識しています。