名古屋市住生活基本計画2021~2030(案)及びマンション管理適正化の推進に関する条例の制定の考え方についての意見 2021年12月24日

2021年12月27日 11時12分23秒 by

名古屋市住生活基本計画2021~2030(案)及びマンション管理適正化の推進に関する条例の制定の考え方についての意見                  2021年12月24日

山口清明
 住まいとまちづくりの基本、施策展開の方向性については概ね理解できるが、「住まいは人権」の視点を打ち出してほしい。多様な推進主体による住まい・まちづくりの方向性が、住宅市場の活性化を目的にした民間市場任せに流れてはいけない。住まいは基本的人権であり、すべての人々に保障すべきもの、だから行政が計画をつくる、と強調すべきである。
 以下、成果指標に絞って、いくつか意見を述べたい。
最低居住面積水準未満の世帯の割合
 早期解消をかかげたことは評価するが、単身者25㎡以上の基準について、セーフティネット住宅の登録基準では一定の条件で18㎡以上に緩和するとしていることは、狭い住宅に空き家が多いことを踏まえても容認できない。むしろ単身者でも40平方以上という誘導居住面積水準へ近づけていくことこそ成果指標にかかげるべきである。
市営住宅の募集戸数
 民間活用をふまえたとしても現状維持の数値では足りない。倍率の高い分野を中心に積極的な目標をかかげるべきである。市営住宅こそ住まいのセーフティネットの要である。
コミュニティ活性化の取組が進められている市営住宅の世帯の割合
 市営住宅の自治会町内会は、自主的な地域活動団体であると同時に共有部分の管理など共益費をもとにした集合住宅の管理組合的側面がある。マンションの管理組合への指導と同様に、会費の使途や管理の課題など必要な情報が居住者に公開されているか監督し、住宅によっては居住者の合意のもと委託も含めた管理方法の思いきった改善にも取り組むべきである。この機会に市営住宅コミュニティの課題をまず自主管理の面で整理してほしい。
リフォーム実施率、一定の省エネ対策を講じた住宅の割合、住宅のバリアフリー化率
長期優良住宅の認定件数もふくめて、優良な住宅ストックの形成は重要な課題であり、そのためにリフォームが大切なことは誰も否定できない。しかし、そのための推進策は既存制度の寄せ集めにしか過ぎない。積極的な目標をかかげ、その実現のために、名古屋市独自のリフォーム助成制度の創設へ踏み切るべきである。
長期修繕計画を作成しているマンションの割合
 マンション管理適正化条例についても同様だが、管理組合に対し、指導監督するという姿勢だけでは問題は解決しない。高齢化する居住者の所得が向上しない厳しい経済状況のもと、住み続けること、修繕することが困難になる事例も増加する。マンションは都市における新たなコミュニティの場であり、なかば公共的な空間である。運営をサポートするとともに、共用部やライフラインの負担軽減、高性能化と大規模修繕への支援を講じるべきである。
 あわせて、市営住宅の計画修繕、長期修繕計画の策定と実施状況について、現状と目標を数値化して計画に示すべきである。 

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