福島原発の事故に多くの国民が不安や恐怖を感じるとともに、
「安全」をふりまき、原発を推進してきた
これまでの政権や東京電力に怒りすら向けられている。
2007年、日本共産党福島県委員会や県会議員団が下記のような申し入れを行っていたが、
それを怠ってきた東京電力の責任ははかりしれれない。
福島原発10基の耐震安全性の総点検等を求める申し入れ
東京電力株式会社取締役社長 勝俣 恒久 様
2007年7月24日
日本共産党福島県委員会委員長 最上 清治
東電柏崎刈羽原発の中越沖地震への対応は、福島県民に大きな衝撃をもたらしたばかりか、多くの国民にも疑問と不安をもたらしている。東電がこれまでどんな地震にも大丈夫という趣旨の主張を繰り返してきたことと裏腹に、消火活動が出来なかったり、放射能を含む水が海に流出したり、放射性物質が3日間も主排気筒から放出されたり、原子炉建屋などの地震の波形データが大量に失われている。
そもそも、1995年に阪神淡路大震災をもたらした兵庫県南部地震の岩盤上の地震動の記録は、日本の原発のなかでもっとも大きい地震に備えるとされる中部電力浜岡原発の設計値を越えていた。このことは1981年に原子力安全委員会が決定した原発の耐震指針の基礎が崩壊したことを示したものであった。
以来、私たちは、国と電力会社に対して、耐震指針の抜本的見直しと原発の耐震新指針の確立を求めてきた。
2006年、原子力安全委員会は「新耐震指針」を決定したが、原子炉を岩盤でなくとも建設できるとか、活断層がない場合の規定が曖昧など大きな後退や問題をもつものであった。
今回発生の中越沖地震で柏崎刈羽原発を襲った揺れは、設計時の想定を最大3.6倍と大きく上回った。これまで兵庫県南部地震の事実を突きつけられても、原発の耐震性は大丈夫としてきた政府と電力会社の説明は完全に覆されていることを率直に認め、以下の対応を早急に取るよう求める。
1、中越沖地震から教訓として何を取り入れて対応したのか、また対応しようとしているのか。
その上に立って、福島原発10基の耐震安全性を総点検すること。
2、東電は、柏崎刈羽原発の設置許可申請時におこなった海底調査で、
今回発生した中越沖地震を引き起こした断層があることをつかんでいたことが判明している。
これまで福島原発立地周辺の断層調査の全容と安全審査の対象にしたのはどの断層で、
対象からはずしたのは何かを明らかにすること。
3、発電所内の自衛消防隊の消火体制の確立・強化をはかり万全をはかること。
4、福島原発はチリ級津波が発生した際には機器冷却海水の取水が出来なくなることが、
すでに明らかになっている。
これは原子炉が停止されても炉心に蓄積された核分裂生成物質による崩壊熱を
除去する必要があり、この機器冷却系が働かなければ、
最悪の場合、冷却材喪失による苛酷事故に至る危険がある。
そのため私たちは、その対策を講じるように求めてきたが、東電はこれを拒否してきた。
柏崎刈羽原発での深刻な事態から真摯に教訓を引き出し、
津波による引き潮時の冷却水取水問題に抜本的対策をとるよう強く求める。
5、危機管理体制の再点検を行い、その結果を速やかに公表すること。
この申し入れを軽く扱った東京電力はの責任は限りなく大きい。