国保都道府県単位化に伴う請願についての賛成討論

2017年06月23日 12時48分12秒 by



福井かずのり市議は本日(6月23日)の山県市議会本会議にて、以下の請願に対する賛成討論を行ないました。全文をご紹介します。なお、採決結果は賛成1(福井かずのり)、反対13で否決されました。

「国保都道府県単位化に伴う請願書」についての賛成討論を行います。

現在の国民健康保険制度は1961年、昭和36年に「皆医療保険」つまり、国民全員が何らかの医療保険に加入することを義務化するため、他の医療保険に入れない人たちが加入する医療保険制度として再編されました。当初から加入者は無職者・低所得者であり、保険料だけで運営することは不可能であったため、多くを国庫負担で賄うことを条件とした制度設計でスタートしたという歴史があります。

 

 

もともと国保収入の70%あった国庫負担が、1984年を境に低下し、現在は23%程度しかなく、都道府県支出金を合わせても30%しかありません。減らされた国庫負担の穴埋めのために市区町村が一般会計法定外繰入をするのは当たり前のことで、それでも市区町村の負担は全体の6%程度しかなく、介護保険の12,5%の半分にもなりません。

さて、山県市の国保加入者は平成28年度末で7272人、世帯数で4236世帯です。これは市民の4人に1人、世帯の約40%が国保に加入していることになります。一世帯当たりの保険税が年間20万2500円になっています。全国の市町村でもやっている一般会計法定外繰入をなくせば、一世帯当たり59000円負担が増え、実に29%増になります。

山県市の国保加入者の内訳は、私が推計するに、年金暮らしの65歳から74歳までの方が3900人強、54%です。46%の3400人は自営業者や低所得者、シングルマザーなどの方です。仮に収入184万円、所得110万円の人は国保税年間22万円、国民年金保険料が年間約18万円、社会保険料だけで約40万円、実に、収入の約22%になります。

都道府県単位化の議論にあたり、全国知事会の問題意識はこの高すぎる国保料・税でした。一昨年夏には全国知事会から「少なくとも協会けんぽ並みの保険料とするための1兆円の投入を」との要望が出されました。しかし結局は3400億円のみとなりました。既に1700億円は投入され18年度から残り半分が投入されますが、市町村の一般会計法定外繰入3900億円よりも少なく、高すぎる保険税の引き下げという問題の解決になっていません。

今、高額医療費の伸びが問題になっています。請願が「木を見て森を見ずの議論」との主張もありました。しかし非正規雇用の低所得者の増加や、一部国民年金暮らしの高齢者の間で医療費が払えずに、重症化してから病院にかかる人が増え、透析患者などが増えています。様々な要因で医療費が増えて、又そうした悪循環の中で介護サービスの増加にもつながっています。国がこの間行っているベッド数削減などの医療費抑制策は、医療費高騰などの解決に有効に対処できていません。この医療費抑制策による悪循環こそが問題であります。

今回提出された請願は、こうした日本の医療や国保財政の現状を考えると、都道府県単位化の中で山県市が現在行っている「一般会計からの法定外繰入」「基金取り崩し」により、「当面は保険税を今のまま維持する」という山県市政の方針にも矛盾するものではありません。

市民の暮らしを真剣に考えるならば、全国知事会の主張の様に、そもそもこの制度の趣旨に沿って国の財政支援を要請するとともに、従来からの市政の方針を継続されることを願い、請願書が採択されることを訴えて、賛成討論といたします。

 

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