山県市議会 行政調査記(1)上山市ワンストップ移住相談窓口

2017年11月15日 10時22分32秒 by

上山市ワンストップ移住相談窓口について  

上山市(かみのやま)は山形空港から山形市経由で南に50分ほどの温泉地。山形新幹線の「かみのやま温泉駅」があり、市内には4つのブロックにわかれた「温泉地」がある。果物の出荷高が高く、「さくらんぼ」「ぶどう」「ラ・フランス」「干し柿」など一年通じた果物栽培がさかんである。蔵王山麓で栽培収穫された良質なぶどうから作るワインも自慢。奥州諸大名の参勤交代の宿駅であった楢下宿。ここの名物のこんにゃくをつかった鮑見立て蒟蒻の粕漬け、山賊自慢煮、帆立貝柱蒟蒻など「こんにゃく懐石」には驚いた。290年ぶりに再建された上山城は美濃源氏ゆかりの土岐氏とも関係があり、歌人斉藤茂吉の生誕の地として有名であり、記念館も造られていた。こうした様々な文化や歴史を持っている上山市でも市町村合併をし、人口減少に見舞われ移住対策に力を入れている。高度成長で都市化が進み、大型公共事業の推進による都市への過度の集中が生み出した弊害が、いま全国の地方都市にひずみを生み出している。イギリスやフランスでは人口減少の兆候をとらえた早期対策、教育子育て支援の国家的な対策が今、功を奏している。誰のための暮らしを、どのように守るか、人口減少の兆候を放置し、今になっても東京一極集中を推し進めている日本が、歴史的な政策転換の時期に来ていることは確かである。視察を通じ、総括的に捉えた感想である。

上山市の「ワンストップ移住相談窓口」は移住者自らが「地域おこし協力隊員」として

この事業に関わっているところから出発していた。それまでは各課バラバラに事業を実施していたのを整理し、移住者目線から「空き物件情報」「仕事情報」「農地や市域の暮らし情報」などを一体的に提供し、移住相談にのる体制を作っている。ここの情報提供の柱が「TURNS」との事業提携であった。「TURNS」は日本の地域をテーマに、移住希望者をターゲットにした「人と暮らし、そして地域を繋ぐ」をコンセプトに展開している。上山市はここと一般財源で委託をし、アドバイスを受けながら移住対策を総合的に展開していた。この総合的な展開と窓口一体化は山県市も参考にすべき内容があるとおもった。ただ権限問題が気になったことと、「地域おこし協力隊」の位置づけと、今後の「協力隊員」の事業と生活保障をどのようにするかという課題はのこされていた。この点では山県市の協力隊員も同様で、引き続き山県市に残っているけれども、関連事業では生計は成り立たなく一般的な仕事に就労している実態がある。総務省がすすめているこの「地域おこし協力隊」事業について、全国的にも同様の問題が指摘されており、今後総務省においても検討が加えられるものと思う。山県市としても、制度設計含めて今後検討が求められていることを痛感した。

 このような事業は、やはりキーマンがいる。こうしたキーマンが活躍しやすい環境づくりは事業自身の位置づけによるところが大きい。移住定住を本気になって考える際には、山県市においても、岐阜市や近隣市から就業に来る人々3800余名をターゲットに移住策を進め、岐阜市や近隣に通勤・通学に流失している約8500余名を山県市にとどめる対策が求められていることははっきりしている。中心部である旧高富町区域の空き家整備、公共交通の整備などの重点的な対策の実施が求められるのではないか。視察を通じ改めて確信した。

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