2018年3月議会・討論

2018年03月22日 11時04分28秒 by

山県市議会議員の福井かずのりです。この3月議会の討論の内容をお知らせします。

議第13号 山県市介護保険条例の一部を改正する条例について

議題26号 平成30年度山県市介護保険特別会計予算について

議題38号 第7期山県市高齢者福祉計画の策定について

これらは、介護保険事業に関わって相互に関連していますので、3議案一括の討論をします。2000年4月から実施された介護保険制度は、これまで家族介護に依存してきた日本の介護保障制度が大きく転換され、「介護の社会化」が達成されるという「バラ色」のイメージで語られてきました。しかし、介護保険は従来医療保険の給付で行っていた保健医療サービスの一部を介護保険サービスとして、介護保険の給付で行なうことにより、増え続ける医療費、正確には、高齢者医療費を抑制するために構築された制度といえます。その後、高齢化の進展などにより、また高齢者医療費が増大したので、2008年から介護保険の財政構造をモデルとした後期高齢者医療制度が導入されました。制度見直しの度に給付抑制が進められ、かつて介護保険を推進した人たちからも「こんなはずではなかった」との後悔の言葉が聞かれるようになりました。安倍内閣は要支援のみならず軽度者(要介護1・2の人)の保険外しまで含む徹底した給付抑制と、地域包括ケアシステムの名のもとに、自助と互助を強調し、かつての「日本型福祉社会」論を彷彿させる介護の家族依存回帰の方向を鮮明にしています。度重なる介護報酬の引き下げも加わり、介護職員は過重労働で疲弊し、職員の献身的な努力により、何とか支えられているのが現状です。早晩、人材不足による施設・事業者の不足が深刻化し介護保険は制度崩壊の危機に直面するでしょう。第7期山県市高齢者福祉計画では、市独自のケアマネをはじめとする関係者へのアンケートなど、実態の把握と対策課題をまとめあげています。健康介護課の皆さんのご努力は高く評価するものです。この調査の結果にも介護現場の現状がリアルに述べられています。いま、介護申請も受け付けない水際作戦が問題視されている中、山県市は市民の立場に立って介護申請を受け付け又、介護保険を知らずにサービスを受けられないことがないように市民への告知などきめ細かく計画がされ、取り組もうとしています。私は常任委員会の審議の中で、国の「見える化システム」の問題点などを指摘しました。国は公助を減らし地域包括ケアシステムと称して、財源移譲もなしに地方自治体に仕事を押し付け、給付抑制を図っています。市が市民に向き合って真面目に介護事業を推進すればするほど給付費は拡大し、国の抑制策の狭間で一層の矛盾を抱えていくことになります。国政のねじれと地方自治体の矛盾と困難、今回の計画では結局のところ介護保険の制度崩壊の危機に直面せざるを得ません。たとえ名目的であったとしても介護保険法の制定当時に掲げた「介護の社会化」を、国の責任として社会保障の一環として財政的な支援を進める方向に政策のかじを切ること。その流れを進めていく山県市高齢者福祉計画が求められます。このような立場から、介護保険料の値上げ改訂を含めた介護保険事業の3つの関連議案に反対するものです。

議題24号   平成30年度山県市一般会計予算について                  

今年度の予算の中に「地域経済牽引事業(水栓バルブ等」として4100万円が計上されています。私は山県市の高齢化が進む中、地場産業の下請け企業の現状を見て、大企業誘致ではなく、足元をしっかり見据え、地場産業への支援を訴えてきました。この点で地域経済牽引業はナノシャワーの医療分野への展開の模索など、新たな事業と雇用を生みものと期待します。

一方で、山県バスターミナル整備に3億1800万円、公共交通実証実験に823万円が計上されています。高齢者の足を確保するデマンドバスの全市導入をめざす立場からすれば、山県市に相応しい公共交通の在り方からすると、残念ながらハーバスの空気バス状態は改善される見通しもなく、市内循環線も具体化はこれからという問題を残したままの不十分な計画と言わざるを得ません。また、予算には香り会館等管理に1990万円が計上されています。昨年第4回市議会で、指定管理の決定に際しは、本来決定に必要なドルフィンの事業提案書が議会に提出もされず議決を求めるという信じがたい提案の仕方でした。指定管理の在り方や補助金の在り方を巡る問題提起がこの間複数の議員からなされていますが、具体化はされていません。グリーンプラザ美山改修(オートキャンプ場)6000万円の計上についてはあとで触れます。シルバー人材センターの補助金が増額されて990万円が計上されています。視察を受けるほどの事業拡大を進めている状況下で、新たな事業分野への人員強化として280万円が増額されています。これも今後の補助金の拡大と固定化に繋がっていきます。自力での体制強化が望まれます。インター開通に向けて「積極型予算」を標榜していますが、審議を通じても様々な課題が未消化のままで今日に至っています。このような点を総合いたしまして、平成30年度の山県市一般会計予算については反対をします。

議題36号   北山辺地総合整備計画の策定について

この整備計画は平成30年~31年にかけてグリーンプラザみやまコテージ村及びキャンプ場の改修工事に「辺地債を活用する」ために新たに策定されました。この計画の参考資料にはオートキャンプ場整備に関する部分がありませんでした。辺地法による辺地債の目的は「その他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正を図る」としています。辺地債の目的からすると、今回の6000万円に及ぶ総合整備計画の策定、そのうち4800万円のグリーンプラザオートキャンプ場の整備が「美山北部地域の住民の生活文化水準の著しい格差の是正」にどのように結びつくのか質疑の答弁は納得できません。辺地債は8割が地方交付税に算入されるとの説明でしたが、しょせん辺地債は借金であり、補助額がどれだけ確保できるかは不明であります。残りは市の財政からの持ち出しです。

以前の私の質疑の中で、市民から訴えがあったトイレ問題。「本市は厳しい財政状況にある」「高富の街中のトイレは年間70万円維持費がかかるので閉鎖した」と言って市民が利用していたトイレが閉鎖されました。たった70万円のトイレは閉鎖する一方で、「4800万円のオートキャンプ場の整備事業」が予算計上されています。この事業の緊急性や必要性についての答弁は、観光による交流人口の増大など抽象的な内容で納得できる具体的なものは有りませんでした。しかも、この施設は山県市民から「なかなか予約が取れない」という声が寄せられており、市民の利便性の確保が要望されていますがいまだに改善されていません。

二期目の指定管理2年目という時期に「大型投資」をする一方で、施設の利用料は指定管理者の収入になります。このような予算の使い方のための「整備計画の策定」については反対します。

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