山県市議会定数削減についての見解

2020年02月06日 11時17分28秒 by

去る1月22日に「臨時議会」が開催され、定数削減の財源による政務活動費月額2万円の支給、年度末手当の値上げ等の条例案が議員提案として上程され、事前の議員間の協議もなく、突然の提案にギリギリ過半数により議決されました。質疑では提案者がたびたび答弁に窮して暫時休憩がされ、10時からの質疑・討論・採決が昼休憩をはさみ、午後2時半近くまで行われました。

議員提案は2期5年間の議員生活の中では初めての事です。議会は条例を発議する役割もありますが、その場合は各議員や会派に対し事前にしらせ、また協議の場を持ち内容を詰めて条例案としてまとめ上げることが望ましいと思います。突然の臨時理事会での条例提案に、質疑の中で提案者は「時間がない」としきりに強調されましたが、であればもっと早くから準備が求められたのではないでしょうか。いずれ「議会議事録」が山県市議会のHPにアップされますので、ご覧いただけたら幸いです。

以下は、臨時議会で私が「質疑・討論」をした内容です。ご覧ください

質疑  発議第1号 山県市議会政務活動費の交付に関する条例について

政務活動費は、市政の課題及び市民の意志等を把握し、市政に反映させる活動等をするための経費の一部として、地方自治法でも従来の「政務調査費」の概念をひろげ「政務活動費」として位置づけなおし、交付することを認めました。このことは議会活動にとって積極的な意味を持っています。そのことを前提として、3点について質問いたします。

第一点、昨年は富山市や岐阜市においても、政務活動費の使途を巡る問題を引き起き起こし、社会問題にもなりました。こうした現状の内容把握なども含めて、議会内に検討グループを設置して議員間の討議をするべき内容の条例ですが、今回の提案は議会における意思形成を考える上でも荒っぽいやり方だと思いますが、この点に関し見解をお聞かせいただきたい。

第二点、月2万円という金額については、どのような算出根拠をもとにしているのでしょうか。他市がそうだからではなく、他市の実施状況の内容の把握や、実施上の問題点や課題について提案者の皆さんが調査されたうえでの見解をお伺いします。

第三点、今回の提案されている条例の中に、必要な事項は「規則」で定めるとありますが、一つ目にそもそも「必要な事項」とはなんでしょうか。また二つ目に、本来条例を提案するに当たっては基本的な「規則」もセットにして提案されるべきではありませんか。その後に追加が必要になれば改正していけばいいと思います。最初から「規則」が提案されていないのであれば、都合のいい運用にもなりかねません市民の皆さんの税金という認識から、この点についての見解をお伺いします。

反対討論 発議第1号 山県市議会政務活動費の交付に関する条例について

政務活動費は、市政の課題及び市民の意志等を把握し、市政に反映させる活動等をするための経費の一部として、地方自治法でも従来の「政務調査費」の概念をひろげ「政務活動費」として位置づけなおし、交付することを認めました。このことは議会活動にとって積極的な意味を持っています。今回の条例について、市民の税金という観点からも全議員によりまず「政務活動費」を支給している市町村の運用実態の現状や問題点、汲み取るべき課題についてしっかり調査して、山県市の「政務調査費」の在り方の詳細を含めて、議会全体の認識にすべきであります。

金額についても同様ですが、運用に関わる「規則」や「ガイドライン」も、他市を援用するのではなく、参考にして、議員全員がよく検討して作成する過程こそが大切であると思います。年度当初から「政務活動費の交付」が必須条件ではありません。期中からの実施を前提としたうえでこの発議はいったん取り消し、議会内に「検討委員会」の様なものをつくり、独自の検討を行い早期に再提案することを提案して、今回の条例提案には反対します。

質疑 発議第2号 山県市議会議員定数条例の一部を改正する条例について

発議第2号 山県市議会議員定数条例の一部を改正する条例について、質疑をいたします。

一点目、定数を削減しなければならない根拠は何か、お尋ねします。

二点目、選挙まで3か月足らずのこの時期に定数を削減するとなれば、新しく立候補しようと思っている人にとっては突然ハードルが高くなり現役が有利になります。削減するのであれば、せめて半年前の12月市議会で決めるべきだとの声もありますが、この点についてのお考えをお尋ねします。

三点目、提出資料の「議員報酬比較表」では、定数の問題と政務調査費がセットで比較されています。議員1人当たりの報酬額は4、823、250円ですが、今回の議員有志の提案では、議員一人を削減すると同時に政務活動費を新設することで、総額の削減は議員一人分の1割程度にしかなりません。一人減らした分をみんなで分けるような提案になっていますが、議員歳費の削減が目的なのか、議員の歳費の値上げが目的なのかをお尋ねします。

四点目、自治会連合会から公印付きで、「定数を13名に削減」する要望書が出されて、直接内容をお聞きする場も議会として設けてきました。この要望を提案者はどのように捉えて、今回の定数削減案の提案になっているのかお尋ねします。

反対討論 発議第2号 山県市議会議員定数条例の一部を改正する条例について

議員が多すぎるという批判や不満の背景には、個々の議員に対する不満や、議会が何をやっているかが見えないなどという要因があります。一方では、政務調査費などの不祥事が議員への信頼を損ねる現実もあります。

議会への不満から、「議員定数を減らせ!」と、定数の削減をしても、問題の本質的な解決にはなりません。議会への不満をしっかりと受け止めて、その背景を分析し、改革の道を探りだし、信頼される議会づくりや市民に見える議会づくりが求められます。

この間、議会では「特別委員会」を設置し、議会基本条例の内容の評価や、見直しを進めている段階です。個々の議員の認識の共有化を図り、検討を通じて「共通する重点課題」を設定し、その具体的な計画を策定することが求められ、定数問題や議員報酬、政務活動費などは当然重点課題になります。

今回、市議会議員選挙まで3カ月を切ろうとするこの時期に、突然臨時議会を開いて「定数の削減」を提案すること自体が乱暴極まりないと思います。新人が議会に立候補しようとしている噂もある中で不意打ちの様です。定数をほんとに問題にするのであればせめて半年前に提案すべきであるという声もあります。

このまま定数を減らしても、議員の活動を質的にも量的にも引き上げることにはなりません。真の「議会改革」に水を差すような提案です。そしてまた、そもそも論から言って定数削減に反対するのは、議員の定数問題は地方政治における民主主義の基本問題であるからです。

言うまでもなく議会、議員の役割は、憲法8章にある地方自治に基づく、住民から直接選挙で選ばれた首長、山県市では二期無投票ですが、住民の代表である議員で構成する議会との二元代表制のもとで、市民の多様な意見をくみ上げ、市政と市民をつなぐパイプ役としての役割、また市政をチェックし、執行機関に対する批判、監視役としての役割、そして政策提案・立法の役割があります。

定数削減によってこうした役割が縮小されるようなことがあってはなりません。ましてや、議員の定数問題で議会が真っぷたつに2分されるような状況の下で進めるべきではありません。2006年2月に、全国市議会議長会、都市行政問題研究会の「調査研究報告書」や、同年3月の都道府県議会制度研究会の報告でも、当時から「議会は地域における政治の機関であり、行政体制の一部ではない。議員定数の問題は単に行政の簡素合理化とおなじ観点から論ずべき問題ではない」とハッキリ述べています。

そして「議員定数は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な一律削減論は適当でない。競って整数削減を行なうことは、地域における少数意見を排除することになりかねない。」異を挟んでいます。以上の理由から発議第2号の定数削減の条例提案はいったん保留にして、しっかり議会で議論をして結論を得るべきであることを述べて、今回の条例案には反対とします。

質疑 発議第3号 山県市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例について

第一点、定数削減することと、その分期末手当をあげてほしいという提案になっているように受け取りましたが、「市民からの議会への信頼」「市民に開かれた議会づくり」の努力と改革の方向なりを議会として作り上げる中で、期末手当の増額がされるならまだしも、議論の途中でこの提案を出してきた意図はどこにあるかお尋ねします。

第二点、若い人が議員になろうとしても、子育て世代のサラリーマンには、国民年金しか入れず、落選したら路頭に迷う不安定な状況におかれています。議員の処遇改善がなければ、副業があって生活が安定した人しか議員の成り手がなくなります。こうした問題を正面から議論することなく、中途半端な提案になれば、将来の山県市の議員の成り手がなくなると思いますが、提案者はどのように捉えて見えるのか、お尋ねします。

第三点、「議員報酬月額」の次に、「及びその額に100分の15を乗じて得た額の合計額」とあるが、単なる数字合わせでなないと思いますが、「100分の15」の明確な根拠をお示しください。

反対討論   発議第3号  山県市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末

手当に関する条例の一部を改正する条例について

今回の提案が定数の削減とセットに提案されている点、及び「議会への市民の信頼」「市民に開かれた議会づくり」が不十分な現状の中での「期末手当」の増額については認められません。

将来の議員の成り手の万台、若い人にとっての国民年金しか加入できず、身分保障もない議員の処遇については正面からの議論が求められます。このような状況の中での「期末手当」の増額を決める条例改正案には反対をします。

質疑 発議第4号 山県市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の特例に関する条例について

(3か月以上の長期にわたる病気入院、刑事事件等に関し議員報酬をカットする条例です。)提案されている条例について、岐阜県下での条例の特例の制定状況及び内容について、調査された内容をお尋ねします。

賛成討論 発議第4号 山県市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関

する条例の特例に関する条例について

今回の条例について病気による長期入院をした当事者としては賛成します。私は3年半前に6月議会のあとに白血病と診断され、抗がん剤治療を半年間受けました。

6月市議会では小中学校へのエアコン設置を市長に迫ったこともあり、病院の無菌室のベッドの上で体調をみながら議会の顛末を市民の皆さんに伝えるために市民報の原稿を書きました。

また、9月決算議会の時期は議案資料を取寄せ、これも体調を気にしながら決算内容のチェックをして質疑一覧を議長にお願いして副市長に届けました。予期せぬことに、議会が終了後すべての課長さんからの質疑への回答を添えて副市長からお手紙を頂き、山県市の行政の皆さんへの信頼を一層深めました。

それでも、やはり病気で入院し、議会を欠席している身としては議員報酬を返上したい気持ちになりました。しかし返上は公職選挙法の寄付行為にあたり、禁止されております。今回の様に条例において特例を定め、議員報酬を減額する措置は適切ではないかと思います。

ただし、若い議員の方にとって議員報酬は生活給ではなく報酬という位置づけですが、長期入院となれば生活費が大変になります。こうした点については今後検討が必要であることも申し添えて、賛成討論と致します。

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